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破壊と創造

リードを作るときがいちばん魂をこめ、真剣になる。
正真正銘の命綱だからだ。

リード2

昔から私が使っているリードの革は実は今、日本ではかなり入手が困難で
ずっと苦労し続けている。
そして、さまざまな理由が重なって、びっくりするほど値があがっている。
稀少なので足元を見られているのか。一枚ずつが駆け引きだ。
情報が入ればその都度、あちこちに一枚ずつ見に行くが、それでも10枚
のうち1枚も持ち帰らないで手ぶらで帰ってくることがほとんど。
人間様のベルトとはうちはワケが違うので、そう簡単には私は妥協しない。
だから、いつも在庫が足りなくてハラハラしている。
1ミリだって無駄には出来ないので、カットの仕事が一番難しい。
失敗が許されないので、ここは必ず私自身がやる。

それでもリードに使えるのは、そうしてやっと手に入れた一枚のなかで、
やっと3分の2くらいの部分がせいぜい。
20年革を見ているからこそ、触っただけでもだいたいわかるが、
たまにはカンナをかけて、染料を入れて、磨きをかけてから、次の日になって
粗が出てきて、気に入らずに破棄することも多い。革は生き物なのだ。
ゴミ箱にその革を私が投げるときに、アトリエには、かなりの緊張が走る。
しゃがみこむほど悔しくてやるせない。たまには本気で涙がでる。




そして、それよりもさらに私が気にかけているのが金具。
これは工業製品であり、私の手にはどうやったって負えないのである。
スタッフが、いつ私がノイローゼになるのではないかと思っているほどに、
金具(ナスカン)の事ばかり、いつも口にしている。もちろん夢にも出てくる。

リード

今回のリードはフリータイプリード。これは2つのナスカンを同じ持ち手
に繋ぐので、私が一番信頼している今までの定番の「鉄砲ナスカン」では
いけない。なぜかというと、鉄砲を引き合って、はずれる可能性があるから。
今まではずれたことはないが、私がはずそうとして、いろんな角度で引っ張
って見て、はずれたことがあるので、それ以来、ここは「レバーナスカン」を
使う事にしている。(一般的には挟みナスカンという)

強度のあるレバーナスカンに出会うのにもこれまたかなりの年数を要している。
そして、いままで、15ミリ巾の革に適したものには出会えず、仕方なく、
12ミリと15ミリの巾の革には、同じレバーナスカンで対応していた。
ただ、今回の15ミリの革の巾のリードを使ってくれるのは、2頭とも30キロ
以上の、とても大きな子。お受けしたはいいが、頭をかかえてしまった。

IMG_1162.jpg

レバーナスカンは写真のように中にコイルが入っている作りなので、あまり
カチャカチャと繰り返し繰り返し開閉をすると、金属疲労でそのピンは折れる。
たったの5ミリ程度の長さのピンだ。

一度、20ミリのレバーナスカンが壊れてしまって戻って来たことがあり、
この事例はドッグランで犬を放したりしている際に、飼い主さんが癖のように
カチャカチャと開閉を繰り返していたことによるものと判明したので、それは
金具の問題にはせずに、それ以降もこの金具は使っている。

IMG_1159.jpg

これが戻って来たものを解体してみたもの。

IMG_1163.jpg

一番左の物だけ部品が一個足りない(折れてしまった)のがわかるだろうか?

そして今回頭をかかえていたときにタイミングよく、出会えたレバーナスカンが
あり、オーナーさんに時間がかかるかもしれないという事を了承して頂き、
まずは、取り寄せたものをバラしてみた。

IMG_1160.jpg

金具は、まず、ぶっ壊す所から始まる。

これはGOOD!である。中に入っていた小さなコイルにまでしっかりと「焼き」
が入れてあった。上のコイル3つの写真の真ん中の物である。よしよし。
ここからまた、メッキ屋さんにつや消しの仕上げを出す。
いちいち時間がかかるが、無理を言ったので、思ったよりも早く上がってきた。
なんだか運が良い。
そして、これを使って作ることにしたが、本当に欲しかったものよりも少し大きめ
だったために革のほうの厚みと縫い方でカバーした。大きいほうがもちろん強度はある
けれど、大きければ良いというわけではなくて、革とのバランスも大事なのだ。




それでも、やはり鉄砲ナスカンのほうが、私にとっては安心なのである。
だから、犬を繋ぐほうにはほとんどの場合、鉄砲を使う。
ただ、鉄砲ナスカンの欠点は、ピンに違う方向の力が同時にかかったときには、
いとも簡単にポキっと折れる、という事。

IMG_1165.jpg

だから2つのDカンを一緒にはさんだり、市販のハーネスでよくある2つのリング
を一緒に挟んだりするのには全く適していない。

それにしても普通に売っている鉄砲ナスカンの遊びの多さには驚く。
力学的に言えば、少しは遊びがないといけないのであるが、始めから多すぎると
この写真のようにぐらぐらになってしまって、根元からポロリと取れることになる。
ピンも弱いものが多い。

IMG_1175.jpg

ちなみにSASHAで使用している鉄砲ナスカンは一番右側。

左の2つは、以前、他メーカーのものが壊れてしまったので直して欲しいと
送られてきたが、お断りして、参考にするためにいただいた。
金具の大きさの割りに、革が薄く細くて、がばがばだ。
早く壊れてくれと言わんばかりの「遊びの多さ」と「金具と革のバランス」
これを見てから、私は他メーカーの犬具のお直しはお断りすることにした。
トータルで考えているので、私の手にはやはり負えない。自信がない。

やっぱり長くなった。でも、最期まで読んでいただけたらとてもうれしい。
そして、お願いだからメンテナンスをさせて欲しいのである。

レバーにしろ、鉄砲にしろ、「金属疲労」は仕方のないこと。
SASHAの犬具は一生もの、と言われることが多くて、それはそれでありがたいが、
私は今まで自分の口から「一生ものです」なんて言ったことはない。
雑誌に勝手に書かれてもめたことはあるけれど。。。

もしそれを私が言えるとしたならば、「メンテナンスをすれば」という条件付きだ。

偏屈な職人の製作ネタで申し訳ないブログになってしまったので、最後に御目直しに、
こんなに素敵な2頭が使ってくれるのです!というお写真を。

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写真

フラットコーテッドリトリバー:Hokulele
ホワイトスイスシェパード  :Shooting Star
写真のご協力、ありがとうございました!

最期にもう一度。
どこのメーカーのリードを使っていても、日々の金具のチェックは必ずお願いしたいと思う。
しつこくて申し訳ない。
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PROFILE

サーシャスピリット

Author:サーシャスピリット
自宅で生まれたミニチュアダックスフントの沙紗とともに暮らしながら、日々製作に励んでおります。
製作時間を頂く為にもギャラリー、および採寸のお仕事などはお休み中。ご迷惑をおかけしておりますが、これからもよろしくお願い致します!

犬具のオーダーメード
【革工房アトリエSasha】

〒187-0003
東京都小平市花小金井南町1-2-4-1A
TEL&FAX 042-384-6151
E_MAIL sasha@sasha-spirit.com

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